四十男のにわかVAPE研究22 - Goblin Mini V3 03 その後 -

また壁のスイッチを確認するために立ち上がった。
前日の疲れを引きずり、憂鬱な気分に飲み込まれないように、少し神経質になっているのだ。

この部屋のクーラーが、仕事を拒絶していることに軽い苛立ちを覚えながら、上着を脱ぎ、ジワリと滲んだ汗を拭った。

スイッチのONとOFFを数回繰り返し、軽く肩を竦め、黙って窓を大きく開けた。
毎日、飽きもせず繰り返すこんなことが、最近の日課になってしまっている。

私の稼業は、前にも言ったはずだが、私立探偵だ。街外れの路地裏に看板を掲げている。
ここ数日の来客といえば、何かの宗教の勧誘があったくらいで、仕事の依頼などもう一月以上無いのだ。

CTHULHU SHURIKENを分解したのは何時だったかは忘れたが、今はGoblin Mini V3に熱を上げている。

デスクに足を投げ出し、ギシギシ音を立てる安椅子に掛けた私は、前回のビルドを想い返していた。
奇を衒ったコイルで組み上げたGoblin Mini V3は、私を喜ばせることは無かった。

溜めた息を軽く吐き出した私は、親指の腹で額の汗を拭った。
ドリップチップに口をつけ、確かめるように吸い込んでみた。
ミストは何とも頼りないもので、「こんなものなのか？」と呟き、Goblin Mini V3をじっと見つめた。

軽く舌打ちした私は、徐にGoblin Mini V3の分解をしはじめた。
カンタル26ゲージ、コア2.5mm、11巻きのマイクロコイルにして組み直した。
狙いは1.3Ωだ。いつものように根拠らしいものは何もなく、思いつきにまかせてのビルドだ。

だが、今回はコイルの位置に執拗に拘り、できるだけエアフローに近づけてみることにした。

何度も何度もコイルの位置を確認する程の念の入れようだ。 

顎の先からは汗が滴っているが、気にはしない。 
オームメーターを一瞥し、軽く頷いた私は、手早く後の作業を終わらせた。

11WにしたAspire NX75でGoblin Mini V3に火をいれ、ミストを吐き出した。

「・・・悪くはないがな」低く呟いた私は、Aspire NX75のプラスボタンを数度押して13Wに上げてみた。
「・・・・・・・・・・・・・」ほんの少しの間躊躇したが、更にプラスボタン数度押して15Wに上げてみる。
「・・・悪くはないが」呟いた私は、立ち上がり軽く伸びをした。

「今度は、デュアルか？」呟いてみたが、こればかりは自分で試すしかないのだ。
壁のスイッチに目をやりながら、「やはり電気は来てないな」と呟き、指でこめかみをギュッと挟みこんだ。
次にミストを吐き出したときに、電話が鳴った。

口元だけで笑った私は、できるだけゆっくりとした動作で、受話器に手を伸ばした。


本日登場したもの
今回は、もう書かないな、前の投稿をみてくれ。


次回に会おう、会えればだがな。　何を騒いでる？　覚えがないな、そんなこと。気にし過ぎじゃないのか？、一服やりなよ。悪かった、もうこんな書き方は、これが最後だといいんだがな。


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